はじめに|“メシを食う”って、こんなに心に響く言葉だったっけ
タイトルを見たとき、グルメエッセイだと思っていた。
おしゃれなパリの街で、こだわりの一皿を味わうような本かなと。
でもページをめくるたびに気づいた。
この本に描かれていたのは、“食べる”ということの、もっと根っこの話だった。
読んでいるあいだ、ずっと感じていたのは、
「本を読む自分でよかった」という気持ち。
この本に出会えたことが、すでに何かのギフトのようだった。

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本の紹介|パリで“自分らしく働く”10人の日本人たち
『パリでメシを食う。』は、
パリに暮らす10人の日本人を取材したエッセイ集。
- 三つ星レストランの厨房で働く料理人
- オペラ座で漫画喫茶を営む夫婦
- パリコレのスタイリスト
- 花屋、アーティスト、国連職員…
どの人の話も、“働くこと”が表面的な肩書きではなく、
「自分をどう生きるか」という深い問いとつながっている。
印象的だったこと|世界の広さを、自分の手のひらで感じた
読みながら何度も思った。
「こんな働き方があるんだ」
「こんな生き方もあるんだ」
パリという異国の地で、それぞれのリズムで“メシを食っている”姿に、
静かに、でも確かに心を動かされた。
どこか遠い世界を見ているようでいて、
それがすごく身近にも感じられた。
「自分が本を読む人でよかった」と思えた、
そんな瞬間がいくつもあった。
感想①|働くことが、ちょっとだけ愛しくなった
この本に出てくる人たちは、派手に「夢」を語る人たちではない。
むしろ目の前の現実を、黙々と選びとっていくような人たち。
でも、だからこそ不思議と——
“夢って、語らなくても伝わるものなんだな”と感じさせてくれた。
派手さも自己啓発もない。
けれど、読後には静かな希望が心に灯っている。
そんな感覚を味わえる一冊だった。
感想②|わたしは、どんなふうに“メシを食いたい”んだろう
“メシを食う”という言葉が、
ただの食事や生活費のことじゃなくて、
「自分の働き方」そのものを問う言葉に聞こえた。
- 誰かに褒められなくても
- 華やかじゃなくても
- 「これでいい」と思える働き方を、選びたい
自分の中にも、小さな“働く哲学”がちゃんとあったんだと、
この本を通じて初めて気づかされたような気がした。
おわりに|この本は、わたしの本棚に静かにいてくれる気がした
読んだあとすぐ、思った。
「この本は、ずっと手元に置いておきたい」
ときどき読み返して、
また誰かの「メシを食う話」をのぞきたくなるような、
そんな温度のある本だった。
華やかでもドラマチックでもないけれど、
「わたしもちゃんと生きてる」と思わせてくれる一冊。
そして、わたしのこれからの読書とブログのこと
好きな人は、何度も同じ本や映画を観るように、
わたしもきっと、この本を何度も開くんだと思う。
そしてこのブログでも、その時々のわたしが、
何度でも同じ本や映画を取り上げていきたい。
感じ方は変わっても、そこに“静かに残る何か”があるなら、
それは、また書いてみたいと思えるから。
読みたいと思ったそのときが、たぶんタイミング。
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