目が覚めた瞬間から、もう始まっている。
今日の会議は何時だったか。あの件、どう進めればいいか。昨日の会話で言い過ぎたことはなかったか。
起き上がる前から、頭はすでに働いている。
体はまだベッドの上にいるのに、アンテナだけが先に立ち上がっている。
※この記事では、HSS型HSP特有の『朝から疲れている理由』と、私が実践している『アンテナをOFFにする回復法』についてお伝えします。
目次
- 朝、起きる前から疲れている
- それでも、動き出してしまう
- 重い夜:全部が追いかけてくる
- 葛藤:どちらが「本当の自分」なのか
- 気づき:どちらも本当だった
- 脈打つリズムで生きること
HSS型HSPが朝、起きる前から疲れている理由
別に、嫌なことがあったわけじゃない。 体調が悪いわけでもない。
ただ、朝から、もう疲れている。
アンテナが、常にONなのだ。
通勤電車の中、向かいに座った人の表情が目に入る。
疲れているのかな。何かあったのかな。 聞いてもいないのに、勝手に想像してしまう。
職場に着く。 おはようございます、と声をかける。
その一言の返し方で、今日の相手の機嫌をなんとなく察してしまう。
会議が始まる。 発言の内容だけじゃなく、言葉の間、声のトーン、誰かと誰かの視線の交わり方。
気づかなくていいことまで、全部拾ってしまう。
これは意識してやっていることじゃない。 気づいたら、そうなっている。
そういう神経系を、持って生まれてしまった。
それでも、動き出してしまう
そのくせ、新しいことへの好奇心だけは止まらない。
会議で新しい企画の話が出る。
疲れているはずなのに、頭が動き始める。
こういうアプローチはどうだろう。
あの視点と組み合わせたら面白いかもしれない。
言葉が口をついて出る。 アイデアが次々と溢れてくる。
気づいたら、共有画面のメモが溢れかえっていた。
廊下で同僚に声をかけられる。
「ちょっと聞いてもらえますか」
もちろん、と答えた瞬間から、スイッチが入る。
相手の言葉の奥にある感情を拾いながら、整理しながら、一緒に考えながら。
気づいたら一時間が経っていた。
これが、HSS型HSPのやっかいなところだ。
ベースはもう疲れているのに、面白いと思ったことには全力になれてしまう。
人の役に立てると思ったら、残っている力を全部使い切ってしまう。
アクセルとブレーキを、同時に踏んでいるみたいだ。
重い夜:毒がじわじわと効いてくる
帰宅して、夕食の準備をする。
冷蔵庫を開けて、食材を出して、火にかける。 手は動いている。ちゃんと動いている。
でも、頭の片隅には今日のことがまだ残っている。
あのアイデア、言いすぎたかな。
あの人、どう思っただろう。 同僚の相談、的外れじゃなかっただろうか。
追い払おうとするたびに、また戻ってくる。
楽しいこともあった。確かにあった。
でもそれと同時に、毒にやられたみたいにHPがじわじわ減っていく感覚がある。
今日拾い続けた感情と空気と言葉が、家に帰ってからも、静かに体を侵食している。
朝からずっとONだったアンテナが、まだ受信し続けている。
仕事のことが、なかなか抜けない。
だから最近、夕食の後に少し体を動かすようにしている。
思考も体もほぐれるから。 そうしてようやく、アンテナが少しずつ、静かになっていく。
葛藤:どちらが「本当の自分」なのか
この矛盾に、私はずっと戸惑ってきた。
職場では「頼りになる」「しっかりしてる」と言われる。 けれど家に帰れば、一言も発したくない夜がある。
人の気持ちを敏感に感じ取れるくせに、それで消耗している。
新しいことへの好奇心は人一倍あるのに、疲れ方も人一倍激しい。
朝から疲れているのに、始まったら止まれない。
社交的な自分と、内向的な自分。 勢いで動く自分と、後からぐったりする自分。
どちらが「本当の自分」なのか。
「HSPなのに外向的すぎる」と思ったり、「社交的なのにHSPを言い訳にしている」と責めたりした。
一貫性がない。 自分が信用できない。
どちらかが嘘で、どちらかが本当のはずだ。 そう信じていた。
気づき:どちらも本当だった
「HSS型HSP」
High Sensation Seeking(刺激希求性)と、Highly Sensitive Person(高感受性)が、同時に存在している人のこと。
私は矛盾していたのではなかった。
二つの「本当の自分」が、ずっと同居していただけだった。
HSSの部分が言う。「もっと行こう。もっと新しいことを。もっと人と関わって、もっと刺激を」
HSPの部分が答える。「待って。神経系がもう限界。処理しきれていない」
どちらも、嘘じゃない。
朝から疲れているのは、怠けているからじゃない。
帰宅後に何もできなくなるのは、メンタルが弱いからじゃない。
ただ、神経系がずっとフル稼働しているから。
受け取った全てのものを、丁寧に処理しようとするから。
それが、私の神経系の仕様だった。
脈打つリズムで生きること
それに気づいてから、私は少しずつ、自分なりの「儀式」を作るようになった。
まず、食事を用意する。 冷蔵庫を開けて、何かを作って、食べる。
それだけでいい。それが、一日の区切りになる。
食事が終わったら、部屋の電気を落として、間接照明だけにする。
昼間の蛍光灯の白さとは違う、やわらかいオレンジの光。
その光の中にいると、神経系が少しずつ、仕事モードから離れていくのがわかる。
気分によっては、音楽をかける。
ハーブティーか、お気に入りのお茶を淹れて、本を開く。
特別なことは何もない。
ただ、静かに、自分のペースで過ごす。
この時間、誰かに何かを返さなくていい。
気を遣わなくていい。 アンテナを、そっと閉じておいていい。
しばらくして、お風呂に入る。
出たら、ストレッチか筋トレを少し。
体を動かすと、頭の中に残っていたものが、ほぐれていく。
一日の終わりに、自分の体に戻ってくる感覚。
朝から疲れているのは、きっとこれからも変わらないと思う。
アンテナが常にONなのは、私の神経系の性質だから。
でも、それでいいと思えるようになった。
人の感情を細部まで受け取れること。
その場の空気を読んで、誰かの役に立てること。
好奇心のままに、全力で動けること。
それは全部、同じ神経系から来ている。
ただ、エンジンの性能に合った走り方をすればいい。
踏み込む時間と、アンテナをそっと閉じる時間を、交互に作ればいい。
あなたが矛盾しているのではない。
ただ、人より豊かな神経系を持って生まれただけだ。
今日もアンテナをONにして、一日を走り切った。
家に帰ったら、そっとOFFにする。
それでいい。 それが、私のリズムだから。

