『月の商人』レビュー|ビジネス書が苦手な私が、働き方のヒントを見つけた物語

翻訳

正直に言うと、私はビジネス書が少し苦手です。
成功法則やノウハウが並んだ本を読むと、なんだか自分が責められているような気持ちになってしまうから。

でも、「女性として、この社会で“自分らしく”働くには、どうすればいいんだろう?」

そんな風に悩んでいた私が、答えのヒントを求めて、恐る恐る手に取ったのが、犬飼ターボさんの『月の商人』でした。
そして、この本は、私のそんな心配を、最初の数ページで、軽やかに裏切ってくれたのです。

なぜなら、これはビジネス書ではなく、一人の女性が、不思議な師匠と出会い、成長していく、最高に面白い「小説」だったからです。
この物語が、私のお金と仕事に対する価値観を、どう変えてくれたのかをお話しします。

目次

あらすじ:一人の女性が「自由」を掴むまでの物語

『月の商人』は、かつて奴隷だった女性ミーナが、ある出来事をきっかけに自由の身となり、その自由を維持するために商売の世界へ足を踏み入れる物語です。

商売の経験も知識も全くないミーナは、様々な困難に直面しながらも、メンターから商売の基礎を学び、実践を繰り返すことで、徐々に商売の才覚を開花させていきます。
物語は、ミーナが経済的な自立を果たすだけでなく、運命の男性との出会いも描かれながら、彼女の成功への道のりを辿っていきます。


月の商人: 女性が「幸せと成功」を手に入れるための秘宝 成功小説シリーズ

私の心を揺さぶった、『月の商人』3つの教え

この物語には、人生と仕事における、普遍的な真理が散りばめられています。
特に、私が何度も読み返している、3つの教えをご紹介します。

① 「知るため」に、まず試す

完璧な計画を立てて、動けなくなるよりも、まず行動してみる。商売は、成功するためだけでなく、「知るため」にやる
ミーナが、ただの腕輪を売るという小さな商いから、人々の本当の求めるものと、それを満たす方法を「知って」いったように、この言葉が、立ち止まっていた私の背中を、そっと押してくれました。

② 「甘やかす」のではなく、「良い影響を与える」のが、本当の優しさ

「大切な人を大切にする」とは、ただ相手を甘やかすことではない。時には厳しいことであっても、相手の成長に繋がる「良い影響を与える」存在であること。
友人メグが、これから商売をするミーナに販売経路を譲ってしまったように、同情するのではなく、馴れ合いではないプロとしてのあり方を示した、あのシーンのように。これは人間関係の本質を突く、愛のある関係です。

③ 「相手の成功」の先にしか、「自分の成功」はない

誰かを蹴落とすのではなく、誰かの成功を助けることで、自分も豊かになる。
ミーナが、ライバル店の窮地を救ったことで、市場全体が活性化し、結果的に自分のお店も潤ったように、「与えることで、与えられる」という考え方は、私のお金に対する価値観を、根底から変えてくれました。

なぜ、この物語は「働く女性」にこそ響くのか

私がこの本にこれほど強く惹かれたのは、主人公ミーナの姿に、現代を生きる自分を重ねたからかもしれません。

男性が作った社会のルールの中で、時に息苦しさを感じながら、「自分らしく」あろうとすること。
この本が示す「競争」や「奪い合い」ではない、「貢献」や「循環」といった、しなやかで新しい成功法則は、そんな私たちに、新しい働き方の可能性を示してくれます。

そして、この本は「自分が売りたいものではなく、求められているものを売る」という、商売の基本を思い出させてくれます。
日々の仕事の中で、私たちはいつの間にか「自分が満足すること」を優先してしまいがちです。しかし、ミーナの姿は、まず「相手を満足させる」ことの先にしか、本当の豊かさはないのだと、静かに、しかし力強く、私たちに語りかけてくるのです。

まとめ:あなたの「好き」を、誰かの「喜び」に変える

もしあなたが、今の働き方に少しでも窮屈さを感じているなら。
この本は、あなただけの「商売」を見つけるための、最高の羅針盤になってくれるでしょう。

大切なのは、あなたの「好き」という、小さな光を見失わないこと。
そして、その光が、どうすれば誰かの「喜び」になるのかを、考え続けること。
その光こそが、やがてあなた自身と、あなたの周りの世界を照らす、大きな月になるのですから。


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星の商人
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