あなたの会社に、こんな人はいませんか?
- 常に「同じ意見です」「私もそう思ってました」しか言わないんじゃないか、と思うくらい同意ばかりしている人。
- どんな提案にも、すぐに「そうですね」「いいと思います」と賛同する人。
私自身、身近にそんな人を見て、なぜ彼らは自分の意見を言わないのだろう?と、その深層心理を掘り下げようと思いました。
もしあなたが「優しい人ですね」と言われることに、少し疲弊しているなら、この記事はあなたのためのものです。
常に同意してしまう行動の裏には、切実な承認欲求と、繊細な理由が隠されています。
なぜ「同意」してしまうのか?深層心理の分析
人が「NO」を言わず、常に同意してしまうのは、決して「怠慢」ではありません。
そこには、対等性への渇望や、承認欲求といった心理が複雑に絡み合っています。
1. 【核心】対等性の確認
「私もそう思っている」と言うことで、相手の意見を理解できる知性や感性を持っていることを示し、「あなたと私は対等な存在ですよ」と認めてほしいという、対等な承認を求める心理が働いています。
同意は、その場に「同じレベルの仲間」として留まろうとする、切実な防衛策なのです。
2. 嫌われたくない恐怖
意見の対立が、人間関係の破綻に繋がるのではないかという無意識の恐怖があり、争いを避けるために即座に同意を選びます。
3. 自己評価の低さ
根本的に自分の意見に自信がないため、「自分の意見を持つリスク」を避け、相手の意見に寄り添うことで、安全な居場所を確保しようとします。
同意の代償:あなたが失っているもの
常に同意し続ける行動は、表面的な平和を生む一方で、真の信頼関係を損ない、あなた自身を深く傷つけます。
1. 意見の「空虚化」と信頼性の喪失
「何がどう同意なのか」という説明がないため、その同意自体に内容が伴いません。
結果、同意が単なる「相づち」となり、その人の意見の「透明性」と「信頼性」が失われ、相手から「中身がない人」と見られ、対等な存在として扱われにくくなってしまうのです。
2. 「自分の意見」の喪失
常に相手に合わせていると、自分の心の中で本当に思っていることや、やりたいことが分からなくなってしまいます。
3. ストレスの蓄積と心の疲弊
言いたいことをすべて飲み込み、笑顔で「同意」に徹することは、激しい感情労働です。
ストレスが蓄積し、やがては燃え尽き症候群や心身の不調につながります。
【処方箋】「小さな行動」で自己肯定感を取り戻す4つのステップ
常に同意してしまう自分を変えるのは、決して「NO!」と叫ぶことではありません。
「小さなステップ」と「行動の変更」で、失われた自己肯定感を回復させることが鍵です。
ステップ①:「NO」ではなく「考える時間」をもらう
いきなり「NO」と言う必要はありません。即答することをやめてください。
「すぐには決められないので、資料を拝見して明日お返事します」
「少し考えさせてください」
この一言で、あなたは思考の主導権を取り戻し、相手と対等な時間を確保できます。
ステップ②:同意するなら、理由を添える
「私もそう思ってます」で終わらせるのをやめてください。
- 「私もそう思います。なぜなら、この部分が特に重要だと感じたからです」
- 「その点は同意です。特に○○という結果が出ている点が素晴らしいですね」
と、ワンフレーズでも根拠や理由を添える習慣をつける。
これにより、あなたの同意に「中身」が生まれ、相手からの信頼と対等性が生まれます。
ステップ③:自分の感情に「名前」をつける
「何をしたいか」よりも先に、「何をしたくないか」を把握します。
「疲れた」「今は無理」と、言葉に出さなくても、心の中で自分の感情を認識する習慣をつけます。
ステップ④:「意見の対立≠人間性の否定」と知る
意見が違っても、あなたの人間的価値は1ミリも変わりません。
対立を恐れず、自分の意見を穏やかに提示する勇気こそが、真の信頼関係を築く土台だと腹落ちさせましょう。
対等な関係の築き方
常に同意することが優しさでも、対等さを示す手段でもありません。
それは、あなたの心のエネルギーと信頼性を消耗させる戦略です。
自分の意見を尊重し、根拠を持って伝えること。
それこそが、会社で、そして人生で、真の対等な信頼関係を築き、あなたの自己肯定感を回復させる、最高の処方箋だと私は考えています。

