静かな気づきの3行サマリ
- 時代を越えても、人間の不器用さは変わらない
- 笑いの裏にある、まっすぐで愛おしい奮闘
- 現代を生きる私たちにも、侍たちの姿はどこか重なる
作品情報
- 監督:安田淳一
- 殺陣: 清家一斗 (東映剣会)
- 床山:川田政史 (東和美粧)
- 公開年:2023年
- ジャンル:コメディ/時代劇
- 上映時間:2時間11分
はじめに:淡々と、でも少しだけ気にしながら観た休日
「今年一番面白かった邦画だよ」
そんなふうに、映画仲間にすすめられた『侍タイムスリッパー』。
特別な期待があったわけじゃない。
お休みの日、Amazonプライムを開きながら、
「じゃあ、観てみようかな」くらいの気持ちで再生ボタンを押した。
淡々と観はじめたけれど、どこかでやっぱり、待っていた。
「いつ、面白くなるんだろう」って。
最初のうちは、映画のテンポにうまく乗れなかった。
おすすめされた記憶があったぶん、
「これ、どのタイミングで爆発するんだろう」
そんなふうに、少しだけ気にしながら観続けていた。
気づけば私は、現代に迷い込んだ侍たちの、不器用で真っ直ぐな奮闘を、
少しあたたかい目で見守るような気持ちになっていた。
侍たちが現代に出会ったもの
現代にタイムスリップしてしまった侍たちは、 スマホも、現代の便利な暮らしも知らない。
最初は戸惑いながらも、彼らなりにまっすぐ現代に向き合おうとする。
テレビを初めて見たときの、あの「何これ!最高に楽しい!」という無邪気な反応。
ケーキを食べたときの、「こんなに美味しいものが普通に食べられるなんて!」という素直な驚き。
時代が違えば価値観も違う。
甘いものはかつては高級品だった。
そんな背景を背負った彼らのリアクションは、どこか可愛くて、愛おしかった。
ズレと笑いと、じんわり滲む人間らしさ
時代が違っても、人間の本質はそんなに変わらない。
でも、物事への向き合い方には、確かに違いがある。
侍たちは、ひとつひとつのことに本気で、真剣だ。
命懸けを常に感じる雰囲気だ。
どんなに便利な世の中になっても、
私たちはいつの間にか、そういう「本気さ」を失っているのかもしれない。
侍たちの姿は、そんなことを思い出させてくれた。
時代を越えても変わらないもの
もし私が未来にタイムスリップしたら──。
たぶんプライドも何も捨てて、「何もわかりません」というスタンスで生きられない気がする。
でも、知らないふりをしながら、前から住んでました、みたいな顔をして、
なんとなく周りに馴染むことはできるかもしれない。
社会人スキルは、案外どこでも通用するのかも、とちょっとだけ思った。
それでも、時代が変わっても変わらないものがあるとしたら──。
自分に正直でいること。
約束は守ること。
素直でいること。
これらはどんな時代でも大切な要素で、できていない人も案外多そうだ。
まとめ|しょうもなくて、でも愛しい人間たちへ
『侍タイムスリッパー』は、派手な映画ではない。
でも、観たあとにそっと心に残る何かがあった。
笑って、少しだけ考えて、
最後にはあたたかい気持ちで見送れる映画だった。
不器用でも、かっこ悪くても、 一生懸命生きることそのものが、 たぶん一番、人間らしいんだと思う。
そんなことを、侍たちは現代で、 不器用に、でもちゃんと教えてくれた気がする。

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