静かな気づきの3行サマリ
- 友情と使命、その間で揺れる心の痛みを描く物語
- 圧倒的な熱量の中に潜む、人間の根源的な感情
- 世界観に圧倒されながら、じわじわと心に根付いていく映画体験
作品情報
- 監督:S.S.ラージャマウリ
- 公開年:2022年
- ジャンル:歴史アクション/ドラマ
- 上映時間:182分
親友からの全力推薦で観た『RRR』
「絶対観たほうがいいよ」 親友が全力で勧めてくれた映画『RRR』。
かなり期待して観に行ったぶん、あの圧倒的な熱量に心がついていかず、しばらく言葉が出なかった。
正直、あまりにも真っ直ぐすぎて、私はちょっと斜めから見てしまっていたかもしれない。
前半はとにかくこの世界観に圧倒されて、一杯一杯。
映像も音も演技も、あまりにも“濃い”から、最初は身構えていた部分もあった。
でも、気づいたら後半からちゃんと楽しんでいて、観終わる頃には「もう一回観たいかも」と思っていた。
3時間という長さも、最初はハードルに感じたけれど、
逆にその時間があったからこそ、だんだん世界観に馴染んでいけた気がする。
頭から離れない戦闘シーン、踊り、音楽。
『RRR』は、ただ派手なアクションを楽しむ映画ではなく、
観たあとで心のどこかに静かに根付く映画だった。
自分を偽れない人間の強さ
物語の軸となるのは、ビームとラーマという対照的なふたりの男。 私はどちらかというと、ビームに強く共感した。
彼は、奪われたひとりの少女を取り戻すために、自分の全てを使って立ち上がる。
難しいことは言わない。ただ、まっすぐに、守りたいもののために動いている。
その姿が、とても人間的で、潔くて、私はそこに強さを感じた。
ラーマの選択――“自由のために警官になる”というのは、本当にすごいことだと思う。
でも私は、ああいうふうに自分を偽るほど強くはなれない。
誰かを守るために、自分の正義を一度飲み込んで、違う顔で生きることができる人は、確かにすごい。
でも私はきっと、ビームのように、ただ「いま目の前にある想い」に従ってしまう。
不器用かもしれないけど、それでいいのかもしれない、と思った。
自由は、生き延びるための力
『RRR』を観ていてずっと感じていたのは、
この映画で描かれる「自由」って、きれいごとじゃないということだった。
インドという土地、支配されていた歴史、文化、家族。
そういうすべての重さがのしかかって、「やるしかない」という状況が生まれている。
ラーマも、ビームも、もしかしたら本人の“意思”だけでは動いていなかったかもしれない。
でも、人ってそうせざるを得ない状況に置かれたとき、
自分でも知らなかった力を発揮することがある。
火事場のバカ力、というと言葉は軽いかもしれないけれど、
それは環境や状況に追い込まれたときに初めて出てくる、人間の根源的な力だと思う。
自由を選ぶということは、実は“選ぶ”というよりも、
生き延びるために自然とそうなっていく力なのかもしれない。
まとめ|心の中の革命
『RRR』は、友情の物語でもあり、自由をめぐる闘いでもあり、
そのどちらもが、とても真っ直ぐで、とても熱い。
最初は戸惑うかもしれない。
でも、観終わったあと、きっと心の中に小さな革命が起きている。
友情か、使命か。
どちらを選んだとしても、そこにあったのは「誰かを思う力」だった。
この映画に触れて、私は改めて思う。
人は環境で作られる部分もあるけれど、自分の中にしかない“火種”を持っている。
そしてそれは、誰かを守ろうとするときに、きっと一番強く燃えるのだと思う。
