私には、自分でもよく分かっている癖がある。
それは、「おしゃべりで、つい話し過ぎてしまう」ことだ。
楽しいと、気持ちが先走って言葉が溢れてしまう。
時には、言わなくてもいい一言を付け加えてしまったり、相手の話を遮ってしまったり。
後から一人で、「あぁ、またやってしまった…」と反省することも少なくない。
しかし、最近、不思議なことに気づいた。
ある特定の友人と一緒にいる時だけは、私が「話し過ぎる嫌な私」に、ならないのだ。
いや、むしろ彼女が、私がそうならずに済むように、巧みに舵を取ってくれている、と言うべきか。
その彼女の存在を通して、私は「人との関わり方」についての、ある大きな真実を発見した。
この記事は、そんな私の個人的な気づきと、その素晴らしい友人への敬意を込めた、大切な記録です。
「話し過ぎる私」を変える、友人の神業
その友人は、まるで超能力者のように、対話の空気を読み、そしてデザインする。
具体的に、彼女が何をしているのか。観察してみると、そこには神業としか思えない、いくつかのスキルがあった。
① 「角が立つ言葉」の、見事な交通整理
私が仕事の愚痴や、誰かへの不満で、つい言葉が鋭くなりそうな瞬間。
その、本当にギリギリのタイミングを彼女は見逃さない。
「あ、そういえばさ…」
と、全く違う、明るい話題を軽やかに差し込んでくるのだ。
それは、あまりにも自然で、私の尖った言葉は行き場を失い、ふわりと空気に溶けていく。
彼女は、私が誰かを傷つける言葉を発する前に、そして、私自身が後悔する前に、そっと守ってくれているのだ。
② 「愚痴」を「笑い」に変える、ユーモアという魔法
そして、驚くべきは、彼女自身の振る舞いだ。
彼女だって、愚痴の一つや二つ、言いたい時もあるだろう。
しかし、彼女は決して、ただ愚痴を垂れ流さない。
自分の失敗談や、ちょっとした不満を語る時、必ずそこに「ユーモア」というスパイスを効かせるのだ。
自虐を交えたり、面白い例え話をしたりして、最終的には必ず「笑い話」に着地させる。
だから、聞いているこちらも、決して嫌な気持ちにならない。むしろ、彼女のことが、もっと好きになる。
気づき：「最高の自分」は、一人では作れない
彼女のその、細やかな視点と、相手を不快にさせないという強い意志に、私はただただ脱帽するばかりだ。
そして、同時に、最も大きなことに気がついた。
「私は、この人といると、”良い自分”でいられる」
一人でいる時の私は、ただの「おしゃべりな私」だ。
しかし、彼女という触媒を通して、私の「おしゃべり」は、誰かを傷つけない、ただの「明るさ」へと昇華される。
彼女は、私の欠点かもしれない部分を、見事に長所として機能させてくれるのだ。
もしかしたら、「自分の性格」というものは、自分一人で完結しているのではなく、関わる相手との「関係性」の中で、初めて形作られるものなのかもしれない。
だとしたら、私たちは、自分を責める必要はないのかもしれない。
「話し過ぎてしまう自分」が悪いのではなく、ただ、対話の化学反応が、うまくいっていなかっただけ、なのだから。
【処方箋】あなたの「最高の自分」を引き出してくれる人
もし、あなたがかつての私のように、自分の性格の一部を「欠点だ」と感じ、悩んでいるのなら。
- まず、そんな自分を責めないでほしい。
あなたのその個性は、相手や環境によって、素晴らしい魅力に変わる可能性を秘めています。 - あなたにとっての「最高の化学反応」が起きる相手を探そう。
一緒にいて心地が良い、素直になれる、なんだか調子が良い。そんな相手との時間を、何よりも大切にしてください。 - そして、自分も誰かにとっての「その人」になる努力をしてみよう。
私の友人が、私にしてくれているように。相手の話を丁寧に聞き、ネガティブをポジティブに変換し、相手が「最高の自分」でいられるような空間を作る。
良い人間関係とは、お互いの長所を増幅させ、短所を優しく包み込み、結果として、お互いを「最高の自分」へと導いてくれる、奇跡のような化学反応のこと。
私も、いつか彼女のような、素晴らしい「対話の演出家」になりたい。
心から、そう思うのだ。
