休日の昼下がり、カフェで仕事の資料を開いている自分に、ふと気づく。
今日は休みのはずだった。 なのに、職場では集中できなかったあの作業を、今ここでやっている。
周りには誰もいない。
静かなこの空間で、ようやく頭が動き始める。
これは、私のことだ。
そしてもしかしたら、あなたのことでもあるかもしれない。
目次
- なぜHSPは「頑張りすぎて」しまうのか
- 120%の努力が生む「見えないエネルギー税」
- 脱力戦略の核心「60%の法則」
- 具体的なPower-Downメソッド
- 「頑張らない」は「諦める」じゃない
なぜHSPは「頑張りすぎて」しまうのか
職場で資料を作っていると、どうしても気が散る。
隣の席の会話が耳に入る。
誰かの足音。電話の呼び出し音。 蛍光灯の微かな音まで、気になってしまう。
だから、家に持ち帰る。
休日に、静かなカフェで、ようやく集中できる。
これは怠けているわけじゃない。 むしろ逆だ。
HSPの神経系は、周囲の刺激を人より多く拾ってしまう。
だから、本当の集中を得るためには、静かな環境がどうしても必要になる。
でも、それだけじゃない。
チームへのメッセージ一つとっても、そのまま送ることができない。
何度も読み返す。言い方を変えてみる。 AIに壁打ちをして、推敲を重ねる。
完璧主義というわけではない。
ただ、「自分がOKと思える基準」に達するまで、手を止められないのだ。
なぜか。
それは、リスクを察知する力が高いから。
「この言い方では、誤解されるかもしれない」
「この資料では、質問されたときに答えられないかもしれない」
「準備不足で失敗したら、どうしよう」
HSPは、まだ起きていないリスクを、先に感じ取ってしまう。
だから、完璧な準備で不安を埋めようとする。
それが、防衛本能なのだ。
120%の努力が生む「見えないエネルギー税」
周りは、私がそこまで準備しているとは思っていないだろう。
休日に仕事をしていることも、メッセージを何度も推敲していることも、誰も知らない。
表面上は、普通にこなしているように見える。
むしろ「頼りになる」と言われることもある。
でも、その裏で失っているものがある。
休日の時間。
リラックスする時間。
何も考えない時間。
そして何より、創造性。
120%の努力で作ったものは、確かに完成度が高い。
けれど、その過程で私は消耗している。
資料を作り終えた後、何も考えられなくなる。
メッセージを送った後、ぐったりする。
成果は出た。
けれど、回復にかかる時間は、その何倍もかかる。
これが、「見えないエネルギー税」だ。
そしてある日、気づいた。
そこまで頑張っても、頑張らなくても、結果はそんなに変わらないのではないか、と。
脱力戦略の核心「60%の法則」
試行錯誤が始まったのは、そこからだった。
まず、先回りしてやることをやめた。
いつも私から動いていたことを、言われてからやるようにした。
放っておく。 待つ。
最初は、不安だった。 「これで大丈夫なのか」と。
でも、何も起きなかった。
誰かが困ることもなく、仕事は回っていく。
私が120%でやっていたことの多くは、実は60%で十分だった。
そして気づいた。
120%で埋め尽くされた時間には、余白がない。
余白がないと、直感が働く隙間がない。
観察する余裕もない。
60%で止めると、そこに余白が生まれる。
その余白で、ふと気づくことがある。
「あ、こっちの方が楽だな」
「これ、そもそも必要ないかも」
HSPの強みは、細部を感じ取る力と、状況を俯瞰する直感だ。
けれど、120%で走っていると、その強みが発揮できない。
60%で止めることは、手を抜くことじゃない。
自分の強みが働く余地を、残すことなのだ。
具体的なPower-Downメソッド
完璧主義のデトックス
私が実践しているのは、こんなことだ。
仕事は、職場でできる範囲で終わらせる。
家に持ち帰らない。休日にやらない。
集中できなくても、その環境でできることをやる。
先回りしない。
頼まれてから動く。
「これ、やっておいた方がいいかな」と思っても、一旦待つ。
最初は罪悪感があった。
「手を抜いている」ような気がしたし、先回りしない不安が常にあった。
しかし、待つ努力をしていると
自分に余裕が生まれた分、本当に大事なことに集中できるようになった。
他の人が動いてくれたり、解決してくれたりも出てきた。
いつもなら私から動いて、あれはやってある?これはどうなってる?と聞いていたけれど
相手から報告してくれたり、相談してやりますと言ってくれるようにもなった。
身体へのアプローチ
頭で「60%でいい」と思っても、体は120%で動こうとする。
だから、体から緩める。
血流を意識。
仕事の途中のトイレ休憩の時は、個室内で軽くストレッチで身体をほぐす。
仕事帰りにエスカレーターやエレベーターは使わず、階段を使う。
駅構内も少し遠くまであえて歩くようにして歩数を稼ぐ。
仕事からオフへと切り替わる行為でもある
頭の中の緊張がほぐれていく。
お風呂上がりには、ストレッチと体幹トレ。
凝り固まった筋肉を、ゆっくりと伸ばす。
体が緩むと、思考も緩む。
「やらなきゃ」が、少しだけ小さくなる。
「頑張らない」は「諦める」じゃない
私が目指していたのは、出世でも評価でもなかった。
ストレスを抱えて、責任を背負って、疲弊しながら働くより。
平凡に稼いで、他のところで収入を作る努力をする方が、私には合っている。
その方が断然楽しい。
ストレスもない。 自分らしく、生きられる。
80%でもなく60%。
少し低いかなと思うくらいでちょうどよかった。
60%で仕事をするのは、諦めではない。
自分の人生の優先順位を、見直すことなのだ。
HSPは、頑張りすぎてしまう。
周りが気づかないところで、エネルギーを使い果たしてしまう。
だから、意識的に力を抜く。 60%で止める。
それは、自分を「諦める」ことじゃない。 自分を「信頼」することなのだ。
60%の私でも、大丈夫。
余白を残した私の方が、むしろ本来の力を発揮できる。
そう信じることが、脱力戦略の核心だった。
今日も、仕事は60%で終わらせた。
残りの40%は、自分のために使う。
それでいい。 それが、私の生き方だから。

