自分軸を安定させるには|ブレない強さより、戻れる強さ

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自分軸さえ手に入れれば、もう何にも揺れなくなる。そう思っていませんか。

一度しっかりした自分を持てば、人の言葉にも動じず、迷いもなくなる。私もそう信じていました。でも実際は違った。自分軸は、手に入れたら完成するものではなかった。環境や人間関係の中で、今でも普通に揺れる。これは、その揺れとどう付き合うかについての、うまく言えないけど、言語化を試みる。

目次

揺れなくなる、とは思っていた

かつての私は、自分軸を「迷わなくなること」だと思っていた。

強い芯さえ通っていれば、誰に何を言われてもぐらつかない。そういう完成形が、どこかにあるのだと信じていた。だから、揺れる自分を見つけるたびに、まだ足りないのだと落ち込んだ。

けれど、ずいぶん歩いてきた今でも、私は揺れる。人の反応が気になって、言葉に詰まることがある。以前のように派手に崩れることは、もうほとんどない。それでも、揺れがなくなったわけではなかった。ただ、揺れ方が変わっただけだった。

昔は、自分そのものが根こそぎ持っていかれるような揺れだった。今は、もっと静かだ。「これ、今言ってもいいのかな」と、ふとブレーキがかかる。その程度の揺れ。けれど、揺れは揺れだ。完成なんて、どこにもなかった。

揺れの種類が、変わっていく

最近の私の揺れは、「話さないでおく」という形をとる。

普通の雑談ですら、これを口にしていいのだろうかと考えてしまう。だからほとんどのことを、話さないでいる。たまに、ぽつりと話すくらい。以前ならこれを「引っ込み思案で、まだ自分を出せていない」と責めていたと思う。けれど不思議と、今はこれでちょうどいい、という感覚がある。

そう思えたのには、きっかけがあった。周りに、なんでもよく話す子がいる。思ったことを、するすると言葉にしていく。その姿を見ていて、はっとした。昔の自分を見ているようだったのだ。

けれど、湧いてきたのは懐かしさではなかった。危ういな、と思った。少し尖っているな、問題が起きないといいな、と。心配のような、ひやりとする感覚。なぜなら、なんでも話していた頃の自分が、どれだけ無防備に自分をさらしていたかを、私はもう知っているからだ。すべてを開いて、隙だらけで、その結果どれだけ消耗したか。

そこで、ようやく腑に落ちた。今の私が「話さない」のは、自分軸が弱いからではない。むしろ逆だ。何を出して、何を守るのか。それを自分で選べるようになった、その結果だった。話さないことは、抑制でも我慢でもなく、自分を守る術を覚えたということ。守り方を知った人だけが、この先、安全に自分を開いていける。だから私は、いつか自然に話せるようになる次の段階も、静かに見据えている。

理解されようとしない、という土台

では、揺れても戻ってこられるのは、何があるからだろう。

考えてみて、たどり着いた答えは、少し意外なものだった。理解されようとしないこと。それが、私の土台になっていた。

自分軸が大きく揺れるとき、その震源地には、たいてい「わかってほしい」がある。理解されたいからこそ、人の反応の一つひとつに、心が上下する。認められれば舞い上がり、否定されれば沈む。判断の主導権を、知らないうちに相手に渡してしまう。けれど「全員に理解されなくてもいい」と手放した瞬間、その震源地そのものが小さくなる。揺れを鎮める技術というより、そもそも揺れにくい場所に立てるようになる。

具体的には、こういうことだ。分かり合える人とだけ、話す。全員にわかってもらおうとしない。話したいことを整理したいときは、その相手が身近にいなければ、AIを相手に言葉にしてみることもある。大切なのは、誰かを無理に求めないこと。そして何より、一人でもしっかり幸せで、その時間を楽しめること。理解者を血眼で探さなくても、自分の中がちゃんと満ちている。その状態が、どんな習慣よりも、私を自分に戻してくれた。

他人の意見を、聞かないわけではない。むしろ、情報としてはちゃんと受け取る。ただ、決定権だけは渡さない。聞いたうえで、最後は自分で決める。その一線が引けているかぎり、たとえ揺れても、私はちゃんと自分の場所に帰ってこられる。

強い自分軸とは、まったくブレないことではなく、ブレた自分を回収できること。揺れの震源地にある「わかってほしい」を手放し、全員に理解されようとしないほど、人は揺れにくくなる。他人の意見は情報として聞き、決定権だけは自分に残す。

まとめ

夜、一人の部屋で、私は今日あった小さな揺れを思い返している。

言えなかった一言。気になった誰かの反応。たぶん、明日もまた揺れる。自分軸が完成する日なんて、きっと来ない。

それでも、もう怖くはない。揺れたら、戻ればいい。分かり合える誰かと話して、あるいは一人の静けさの中で、自分の感覚をもう一度手に取る。何度でも、自分に帰ってくればいい。ブレないことではなく、帰り道を知っていること。それが、今の私にとっての自分軸だ。

窓の外の夜は広くて、静かだ。その静けさの中で、私は今日も、ちゃんと自分の場所に立っている。

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