成果が出ているときほど、自分のやり方を疑えなくなる

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一番無理をしていた時期に、一番結果が出ていた。

これは、後から振り返ってようやく言葉にできたことだ。渦中にいたときは、そんなふうには見えていなかった。むしろ逆で、「結果が出ているんだから、このやり方で合っている」としか思えなかった。

なぜ、明らかに無理をしていたのに、私は止まれなかったのか。今考えると、それは失敗していたからではない。成果が出ていたからだ。数字がついてきて、評価もされて、自分のやり方が正しいという証拠が、次から次へと積み上がっていったからだ。

目次

成果が出るほど「自分は正しい」と思うようになった

「頑張りすぎると結果が出なくなる」という話なら、まだ単純だった。実際はそうじゃなかった。

成果が出る。だから、自分のやり方が正しいと思う。正しいと思うから、もっと仕事を抱える。抱えるほど、周りの進め方がもどかしく見えてくる。もどかしく見えると、人に任せるという発想そのものが消えていく。任せなければ、成果はますます自分一人に集中する。成果が集中するほど、「自分が正しい」という確信は、さらに強くなっていく。

この輪の中にいる間、ブレーキをかける理由がどこにもなかった。失敗していれば、立ち止まって考えられたと思う。でも、うまくいっていたから、疑う隙がなかった。

「私がやった方が早い」が加速していく

自分がやるしかない、自分が引っ張っていかないといけない。そう思い込んでいた時期があった。常に何かに追い詰められているような感覚で、精神的にずっと何かに追われている状態が続いていた。眠れない日も、そのころは珍しくなかった。

任せられなくなっていた理由は、たぶん人を信用していなかったからではない。自分が正しいと思わないと、やっていられない状態だったからだと思う。自分の正しさを疑った瞬間、それまで積み上げてきたものごと崩れてしまいそうで、疑うわけにいかなかった。

独走していることに自分だけが気づいていなかった

「いつも頑張ってるね」と言われるくらいなら、まだよかった。実際は、誰も近づけないほど独走していた時期があった。

周りなんてどうでもいい、というくらいの勢いで、ひとりで走り続けていた。全部、周りのせいだと思っていたし、自分が正しいと信じ込んでいた。今思うと、それ自体がかなり危うい状態だったのに、当時の私にはその危うさが見えていなかった。

孤独だった。でも、その孤独の理由を、自分の走り方のせいだとは思っていなかった。周りが全員、敵のように見えていた。ついてこられない人たち、わかっていない人たち。そんなふうに見えていたのだと思う。今振り返ると、見たくなかった自分の姿がそこにある。

結果は出ているのに、人は離れていった

不思議なことに、そういう時に限って結果はガンガン出ていた。評価もされて、成果も出て、自分でも驚くほど数字がついてきた。

でも、心は置き去りだった。そして、周りはどんどん離れていった。

離れていく人たちを見ながら、それでも「結果が出ているんだから、これでいい」と思っていた部分がある。数字が正しさの証明になっていたから、人が離れていくことの意味を、まともに考えずに済んでいた。結果が出ている限り、立ち止まる理由が見つからなかった。

静かな気づきの3行サマリ

  • 一番無理をしていた時期ほど、結果は出ていた。だから止まる理由が見つからなかった。
  • 成果が出るたびに「自分のやり方は正しい」という確信が強くなり、人に任せられなくなっていった。
  • 結果が出ていることと、その働き方が健全であることは、まったく別の話だった。

力を抜くようになって初めて見えたこと

力を抜いてみて初めて気づいたのは、結果が出ていた頃の自分のやり方に、疑う余地がまったくなかったということだ。うまくいっているときほど、そのやり方を検証する機会は訪れない。むしろ、うまくいっているという事実そのものが、検証をしなくていい理由になってしまう。

正直、今の方が結果は控えめかもしれない。それでも、以前のような「常に何かに追われている感覚」はない。人に任せることが、以前よりずっと自然にできる。

成果と健全さは別だ、という現在の結論

仕事で結果が出ていることと、その働き方が健全であることは、別の話だ。今はそう思っている。

そしてもう一つ、少し怖いと思っている事実がある。成果が出ているときほど、自分のやり方を疑う理由がなくなるということだ。うまくいっている間は、誰もブレーキを教えてくれない。数字も、評価も、周りの反応も、全部「このままでいい」と言ってくる。止まる合図は、外側からはやってこない。

だから、あの頃の自分を単純に否定する気にはなれない。あの走り方でしか出せなかった結果もあったと思う。ただ、同じくらいの結果を、もう少し違う抱え方で出せたかもしれない、とも思う。

その問いに、今もまだ完全な答えは出ていない。

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